キリムとは、トルコ・アナトリア高原から中央アジアの広い地域に住んでいるチュルク族や遊牧民たちが織る、平織りの織り物です。
ウールの平織りのもの全ての総称で、敷物に限らずテント布や収納用具などの生活道具として使われていたものもキリムです。
羊や山羊などを連れていた遊牧民たちが、身近なウールを使って色やデザインなどを創意工夫しながら織り上げたキリムは、名もなき遊牧民のオリジナリティーあふれる、世界にただひとつの芸術作品として注目を集めています。
遊牧民にとってキリムは実用的な生活用具だけでなく、暮らしに彩りを加える装飾品でもありました。
織り手である女性が「生活に彩りを加えたい」「豊かに暮らしたい」と腕を競って織ったキリムは、各々の大切な自己表現の方法でもありました。
女性たちは遊牧生活の中での空いた時間に織っているため、他の仕事が忙しくなればキリムを織ることができません。
再開したときには気分が変わって、柄が左右対称でなくなったり色や模様が途中で変わってしまうこともしばしばあるようです。
このおおらかさがキリムを個性や味わい深さを持ったもの、そしてあたたかみのあるものにしています。
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